元税制調査会会長、元一橋大学長の石弘光(いしひろみつ)氏が亡くなられた。81歳。税の世界で活躍された方で、所得の捕捉率を表すクロヨン(9:6:4)、トーゴウサン(10:5:3)などは氏の統計調査から生まれた。 ひとつの完結した制度としての税制の在り方や哲学にこだわり、財政論の専門家でもある立場から財政再建の必要を正面から説いた。骨のある人だった。私が税の本を読んで初めて感動して泣いたのは氏の本だった。その一節を紹介しよう。「おそらく税とか税金とかいうのはあまりいい印象を人々に与えていないと想います。(中略) しかしこの世の中で、これほど必要なものはないのです。」(「タックスよ、こんにちは」より)氏のご冥福をお祈りする。